税法・財政法試験問題集・その16
大東文化大学法学部法律学科・税法(講義)2007年度後期再試験問題〔2008年3月10日出題〕
●次の設問のうち、1題だけを選んで解答しなさい。
T.租税回避行為について、判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。
U.所得税法第89条を参照して、課税総所得金額が400万円である場合の税額を算出しなさい(超過累進税率によること)。また、単純累進税率でも計算して結果を比較し、何故に単純累進税率であってはならないのかを述べなさい。なお、計算の途中経過などを明示すること。
V.別紙に掲げた条文を参考にし、法人税における交際費等の扱い方について、判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。
別紙
@所得税法(「上欄」は「左欄」に、「下欄」は「右欄」に読み替えること。)
(税率)
第89条 居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額とする。
百九十五万円以下の金額 |
百分の五 |
百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額 |
百分の十 |
三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 |
百分の二十 |
六百九十五万円を超え九百万円以下の金額 |
百分の二十三 |
九百万円を超え千八百万円以下の金額 |
百分の三十三 |
千八百万円を超える金額 |
百分の四十 |
2 課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額は、それぞれ、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から前章第四節(所得控除)の規定による控除をした残額とする。
A租税特別措置法
第61条の4 法人が平成十八年四月一日から平成二十年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(清算中の各事業年度を除く。)において支出する交際費等の額(当該事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額)が一億円以下である法人については、当該交際費等の額のうち次に掲げる金額の合計額)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 当該交際費等の額のうち四百万円に当該事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(次号において「定額控除限度額」という。)に達するまでの金額の百分の十に相当する金額
二 当該交際費等の額が定額控除限度額を超える場合におけるその超える部分の金額
2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、一月とする。
3 第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(第二号において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。)であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用
4 前項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。
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