税法・財政法試験問題集・その28

 

大東文化大学法学部法律学科・税法(講義)2009年度後期本試験問題〔2010年1月28日出題〕

 

  ●次の中から1問だけを選択し、解答しなさい。

  T.事業所得について、判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  所得税法第27条  事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

  2  事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

  U.所得税法第56条は 「事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例」という見出しの下、次のように定めている。

  「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。」

  この規定の意義と問題点について、判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  V.法人税法第22条第2項は、「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」と定める。何故、「無償による資産の譲渡又は役務の提供」からも「収益」が生ずるとされているのであろうか。判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  W.取引高税と付加価値税との違いについて論じなさい。なお、日本の消費税がどちらのタイプを採用しているかを明らかにすること。

 

 

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