税法・財政法試験問題集・その42

 

西南学院大学法学部・税法(集中講義)2011年度期末試験問題〔2011年9月8日出題〕

 

●六法、および条文のコピーの参照を可とします(但し、書き込みのあるものは不可)。

■次の中から1題だけ選択し、解答してください(2題以上解答した場合は採点しないので注意してください。また、解答用紙に、選択した番号を記してください。

   1.租税法において、信義誠実の原則を援用するならば、いかなる問題点があると考えられるか。また、信義誠実の原則はどのような場合に適用されると考えるべきか。学説、判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

  2.事業所得と給与所得との違いについて、学説、判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

  3. 甲(男)と乙(女)は夫婦であったが、甲の不倫が原因で離婚することとなった。この離婚は家庭裁判所の調停によりなされたものであり、その調停の条項に従って、甲は自らが所有する土地および家屋を乙に譲渡し、登記の名義も甲から乙に変更した。

   この事例について、甲にはいかなる納税義務が発生するか(あるいは、全く発生しないのか)。土地および家屋の譲渡が慰謝料としてなされた場合、財産分与としてなされた場合のそれぞれについて、学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

  4.福岡市中央区春吉に本社を置くA社は、西区姪浜の土地を所有している。平成23年3月31日、A社はこの土地を、同社の代表取締役であるBに対し、3千万円で売却した。この価額は、A社が何年も前に取得した時の価額であり、売却の当時は1億円と評価されていた。A社にいかなる納税義務が発生するか。判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  5.Xは酒屋を営む個人事業者である。或る日、所轄税務署から職員AがXの酒屋にやってきて、税務調査を行った。Aは所得税および消費税についての調査を行ったが、Xに対して帳簿および請求書等を提示するように求めたのに対し、Xは、それらを保存しているが帳簿以外は提示しないと答えた。Aは帳簿を調査したが、請求書等がなければXの申告が正しいかどうかわからないとして、その後も再三にわたって請求書等を提示するように求めた。これに対し、Xは、請求書等を保存していればよいのであって提示する義務はないと答えた。そのため、所轄税務署は、Xの消費税の申告について、仕入税額控除を認めない旨の更正処分を行った。Xは、この更正処分の取消を求め、適法な異議申立ておよび審査請求を経て裁判所に訴えを提起した。

  さて、Xの主張は認められるべきか。学説、判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

 

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