税法・財政法試験問題集・その63 

 

大東文化大学法学部税法後期末試験問題〔2017年1月23日出題〕

 

 

 ●次の中から1問だけを選択し、解答しなさい。なお、条文については別紙を参照すること。

 T 給与所得者であるXは、平成21年から平成25年まで、JRA(日本中央競馬会)が主催する競馬の全レースについて、提供するA-PATというサービスおよび有料競馬予想ソフトを利用し、馬券(勝馬投票券)の購入および払戻金の受取等を行っていた。1日あたりの馬券購入金額は1000万円を超えることが多く、結果としてこの5年間の馬券購入金額は合計で35億円余、払戻金受取金額は合計で40億円余である。勿論、実際には外れ馬券に終わった馬券の購入金額も多額にのぼるため、Xは、平成21年分から平成25年分までの確定申告において、外れ馬券購入分を必要経費として申告していた。しかし、所轄税務署長は、平成27年某月某日、Xの申告のうち、外れ馬券購入分を必要経費として認めないとする増額更正処分を行った。Xは、これを不服として、国税通則法第75条第1項第1号に従い、国税不服審判所長に対して審査請求を行ったが棄却裁決が出されたので、地方裁判所に、国を被告として増額更正処分の取消を求める訴訟を提起した。

 さて、Xの請求は認められるべきか。Xは馬券購入および払戻金に関わる所得を何所得として申告を行ったのか、所轄税務署長はその所得を何所得と捉えたのかを答えた上で、判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

 U 別紙に示した法人税法第22条を参照し、益金および損金について説明しなさい。また、何故に「無償による資産の譲渡又は役務の提供」からも「収益」が生ずるとされているのかについて、判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。なお、同第37条も参照すること。

 

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