行政法試験問題集・その20

 

大東文化大学法学部・行政法1(講義)2007年度前期試験問題〔2007年7月26日出題〕

 

●次の中から1問だけを選択し、解答しなさい。

  @法律の留保について、判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  A板橋区に在住するAは、自分が住んでいる地区が準防火地域であることから、自己所有の土地に耐火構造の外壁を備えた鉄筋3階建ての賃貸マンションを建築した。この建物の外壁は、Bが所有する土地との境界線から5センチメートルしか離れていない。そのため、Bは、この建物が民法第234条に違反するとして、Aに対し、境界線から50センチメートル以内の建物の収去を求めて訴えを提起した。Bの主張は認められるべきであろうか。判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。なお、本件地域においては、民法第236条にいう慣習は存在しないものとする。

  参照条文

  (1)建築基準法

    (隣地境界線に接する外壁)

  第六十五条 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

  (2)民法

    (境界線付近の建築の制限)

  第二百三十四条 建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。

  2 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

  第二百三十五条 (略)

  (境界線付近の建築に関する慣習)

  第二百三十六条 前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

 

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