行政法試験問題集・その22

 

大東文化大学法学部法律学科「行政法1」2007年度後期試験問題〔2008年1月31日出題〕

 

●次の中から1問だけを選択し、解答しなさい(2問以上解答した場合には0点とする)。

  (1)A県警察署は、管轄地域内にあるB交差点が飲酒運転の名所で、しかも交通事故の多発地帯でもあることから、B交差点で交通違反取締りを目的とする自動車検問を行った。この交差点を通った運転手Xは、警察官の合図に従って車を停止させた。その際、Xは運転免許証を警察官に呈示したが、酒の臭いがするので警察官はXに降車を求め、交番にXを同行させたところ、飲酒検知によってXが酒気帯び運転を行っていたことがわかり、Xは検挙された。これに対し、Xは、この検問が何の法的根拠もなく行われた違法なものであるから、飲酒検知によって得られた証拠は証拠能力を欠いている、などとして無罪を主張している。

  さて、この事件について、Xの主張は認められるべきであろうか。判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  (2)S県農業共済組合連合会は、H市農業共済組合に対して農業共済保険料などに関する債権を有する。一方、H市農業共済組合は、組合員Aに対して共済掛金などの債権を有する。H市共済組合が有する債権については、法律上、行政上の強制執行を行うことが認められているが、S県農業共済組合連合会が有する債権については行政上の強制執行を行うことは認められていない。また、法律により、H市共済組合とAとの共済関係が、同時にS県農業共済組合連合会とH市農業共済組合との保険関係を成立させることとなっている。Aは共済掛金などの支払いが遅れがちであったので、H市農業共済組合もS県農業共済組合連合会に農業共済保険料などを支払うことができないという状況になっていた。そこで、S県農業共済組合は、H市農業共済組合がAに対して有する債権を保全するため、民法第423条に基づき、H市農業共済組合に代位して、Aを被告として共済掛金などの支払いを求める民事訴訟を提起した。

  果たして、S県農業共済組合連合会の請求は認められるべきであろうか。判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

  参照条文 民法第423条 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

  A  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

  (3)要件裁量および効果裁量について、学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

 

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