行政法試験問題集・その30

 

国学院大学法学部「行政法T」2011年度夏季休暇課題〔2011年7月12日出題〕

  

次に掲げる条文を読み、後の設問に答え、論じてください。なお、設問の全てに解答すること。

(1)銃砲刀剣類所持等取締法

第十四条 都道府県の教育委員会は、美術品若しくは骨とう品として価値のある火縄式銃砲等の古式銃砲又は美術品として価値のある刀剣類の登録をするものとする。

2 銃砲又は刀剣類の所有者(所有者が明らかでない場合にあつては、現に所持する者。以下同じ。)で前項の登録を受けようとするものは、文部科学省令で定める手続により、その住所の所在する都道府県の教育委員会に登録の申請をしなければならない。

3 第一項の登録は、登録審査委員の鑑定に基いてしなければならない。

4 都道府県の教育委員会は、第一項の規定による登録をした場合においては、速やかにその旨を登録を受けた銃砲又は刀剣類の所有者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に通知しなければならない。

5 第一項の登録の方法、第三項の登録審査委員の任命及び職務、同項の鑑定の基準及び手続その他登録に関し必要な細目は、文部科学省令で定める。

(2)銃砲刀剣類登録規則(振り仮名は省略)

第四条 火縄式銃砲等の古式銃砲の鑑定は、日本製銃砲にあつてはおおむね慶応三年以前に製造されたもの、外国製銃砲にあつてはおおむね同年以前に我が国に伝来したものであつて、次の各号のいずれかに該当するものであるか否かについて行うものとする。
 
  一 火縄式、火打ち石式、管打ち式、紙薬包式又はピン打ち式(かに目式)の銃砲で、形状、象嵌、彫り物等に美しさが認められるもの又は資料として価値のあるもの
 

  二 前号に掲げるものに準ずる銃砲で骨とう品として価値のあるもの(明治十九年以降実用に供せられている実包を使用できるものを除く。)

2 刀剣類の鑑定は、日本刀であつて、次の各号の一に該当するものであるか否かについて行なうものとする。

 
一 姿、鍛え、刃文、彫り物等に美しさが認められ、又は各派の伝統的特色が明らかに示されているもの

  二 銘文が資料として価値のあるもの
 
  三 ゆい緒、伝来が史料的価値のあるもの


  四  前各号に掲げるものに準ずる刀剣類で、その外装が工芸品として価値のあるもの

 設問1  次の文章の下線部@およびAにつき、正しい語句を選択し、記しなさい。

  銃砲刀剣類登録規則は文部科学省令(最終改正時は文部省令)であるから@(法規命令/行政規則)であり、その第四条は銃砲刀剣類所持等取締法第十四条のA(執行命令/委任命令/独立命令/訓令/通達/政令/勅令)である。

設問2  東京地判昭和62年4月20日判時122855頁は、銃砲刀剣類所持等取締法第十四条の趣旨をどのように説明しているか。また、銃砲刀剣類登録規則第四条第二項についてどのような判断を示しているか。

設問3  最判平成2年2月1日民集44巻2号369頁(3名の裁判官による多数意見)は、銃砲刀剣類所持等取締法第十四条の趣旨をどのように説明しているか。また、銃砲刀剣類登録規則第四条第二項についてどのような判断を示しているか。

設問4  最判平成2年2月1日民集44巻2号369頁には2名の裁判官の反対意見が付されている。多数意見、反対意見の双方を参照しつつ、銃砲刀剣類所持等取締法第十四条の趣旨、および銃砲刀剣類登録規則第四条第二項の妥当性について、あなたの見解を述べなさい。

●字数・枚数:設問1を除き、全体で
3000字以上とします。設問ごとの字数制限は設けません。なお、次の点に注意してください。

@パソコン、ワープロでレポートを作成する際には、A4の用紙を使用してください(その他の用紙では受け取れないことがありえます)。また、1行あたりの字数と1頁あたりの行数を明示してください(1頁について40字×40行または40字×30行が望ましいです)。

Aパソコン、ワープロを使用しない場合には、必ず原稿用紙を使用してください。レポート用紙、ルーズリーフなどを使用した場合には採点しません。また、万年筆かボールペンで記すこと。鉛筆は御遠慮願います。

B参考文献を明示してください。なお、六法などの法令集、辞書、判例集などは参考文献にならないので注意してください。 

●提出方法

@K-SMAPYのレポート提出機能を原則とします。9月23日(金)の2200分を締め切りとします。

A但し、この機能を使えない場合には、9月23日の講義の際に提出していただきます。教卓の上に置いてください。

●その他の注意

レポートの提出がない場合には、単位の認定をしません。また、教科書や参考文献、さらにホームページなどの丸写しなどで終わっているものは未提出とみなします。自分の力で考え、表現してみましょう。
 

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