行政法試験問題集・その37
大東文化大学法学部法律学科「行政法1」2012年度後期試験問題〔2013年1月25日出題〕
●次の中からT〜Wから1つだけを選択し、解答しなさい。
T.
大東文化大学の学生Aは普通乗用車の運転免許をもっていたが、度重なる違反のため、免許を「取り消された」。この事例を使い、行政行為の取消と撤回について論じなさい。なお、両者の違いに必ず言及すること。 U.AとTは都立高校の教諭である。某年3月某日、この高校で卒業式が行われ、君が代斉唱が行われたが、校長の職務命令に反してAはピアノ伴奏を拒否し、Tは斉唱の際に起立せず、斉唱も行わなかった。都の教育委員会は、Aについては減給処分、Tについては停職処分を行った。AおよびTは、校長の職務命令が違憲かつ違法であり、それぞれが受けた処分は違法であるとして、各処分の取消を求めて出訴した。それぞれの処分は妥当であるか。判例、学説の動向に照らして論じなさい(なお、合憲か違憲かという問題を論ずる必要はありません)。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
(第2項以下は略)
V.水道法第15条第1項は「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。この「正当の理由」とはいかなる場合を指すのか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。
W.地方公共団体の条例で不作為義務を定めており、その条例に基づいて命令を発したのに相手方が不作為義務を履行しない場合、その地方公共団体は相手方に対して強制執行をなしうるか。なしえないとしたら、いかなる措置を執ることが可能か(なお、条例には執行罰や直接強制に関する規定が存在せず、また、法律によれば、執行罰も直接強制もなしえないと解されることとする)。学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。
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