行政法試験問題集・その38

 

国学院大学法学部「行政法T」2012年度後期試験問題〔2013年2月6日出題〕

 

  ●次の中からT〜Wから1つだけを選択し、解答しなさい。

 T.行政行為の公定力について論じなさい。

 U.AとTは都立高校の教諭である。某年3月某日、この高校で卒業式が行われ、君が代斉唱が行われたが、校長の職務命令に反してAはピアノ伴奏を拒否し、Tは斉唱の際に起立せず、斉唱も行わなかった。都の教育委員会は、Aについては減給処分、Tについては停職処分を行った。AおよびTは、校長の職務命令が違憲かつ違法であり、それぞれが受けた処分は違法であるとして、各処分の取消を求めて出訴した。それぞれの処分は妥当であるか。判例、学説の動向に照らして論じなさい(なお、合憲か違憲かという問題を論ずる必要はありません)。

 参照条文 地方公務員法

 第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

  一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合

  二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

  三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

  (第2項以下は略)

 V.水道法第15条第1項は「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。この「正当の理由」とはいかなる場合を指すのか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。

 W.行政強制(行政的執行または行政上の強制執行ともいう)について、判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。なお、次の条文も参照すること。

 参照条文 行政代執行法より

 第1条  行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。

 第2条  法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。

 

 

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