行政法試験問題集・その43

 

大東文化大学法学部法律学科「行政法1」2013年度後期末試験問題〔2014年1月24日出題〕

 

 

 次の中から1問だけを選び、解答しなさい。

 1.行政行為の無効と取消について、判例、学説に照らしつつ、論じなさい。

 2.Y市は、Xが所有する家屋につき、平成元年度より固定資産税賦課処分を行い、Xに固定資産税等納税通知書を送付した。その内容に従って、Xは毎年固定資産税を納めてきた。ところが、今年9月某日にY市の職員が再調査したところ、X所有の家屋について評価を誤り、正しく評価した場合よりも多くの税金を徴収していたことが判明した。そこで、Y市長は、地方税法第417条に基づき、平成25年9月25日付で、平成21年度から平成25年度までの各年度分について減額更正し、納付済み税額との差額を還付した。この際、Y市は、平成20年度以前の固定資産税等に係る賦課決定については同法第17条の5第5項によって期間制限を受けるために修正できないこと、過納金については根拠規定を欠くので返還できないという旨も通知した。納得できないXは、Y市を被告として、平成元年度から平成20年度までの過納金相当額の支払を求める国家賠償請求訴訟を提起しようと考えている(なお、不服申立期間や出訴期間を徒過しているため、行政行為の取消を求める訴訟は提起できない)。

 果たして、本件について国家賠償請求訴訟の提起は認められるべきであるか。Y市側が主張すると考えられる見解についても述べた上で、判例、学説に照らしつつ、論じなさい。

 3.国税通則法第74条の2第1項は、「国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(中略)は、所得税、法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(中略)を検査し、又は当該物件(中略)の提示若しくは提出を求めることができる。また、同法第127条は「第七十四条の二(中略)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」を「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と定める。これらのような規定は、憲法との関係で問題にならないのであろうか。判例、学説に照らして論じなさい。

 参照 日本国憲法より抜粋

 第31条:「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 第33条:「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

 第35条第1項:「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

 第35条第2項:「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

 第38条第1項:「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

 第38条第2項:「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

 第38条第3項:「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

 第39条:「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

  

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