行政法試験問題集・その58

 

国学院大学法学部「行政法1」2016年度期末試験問題〔2017年1月27日出題〕

 

次のT〜Wから1つだけを選択し、解答しなさい(2問以上解答した場合は0点とします)。

 T.行政行為の瑕疵について、判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。

 U.産業廃棄物処理業者のYは、X市内に廃棄物処理施設(本件施設)を設置し、使用を開始した。X市とYは、平成17年に本件施設に関し、使用期限を平成251231日までとすること、Yはこの期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならないこと、などを内容とする公害防止協定を締結した。しかし、Yは平成26年になってからもなお本件施設を使用していたので、X市は、Yの本件施設使用の差止を求める訴訟を提起した。X市の請求は認められるべきであろうか。学説や判例の動向に照らしつつ、論じなさい。

 V.Xは、某郡某村A地区で小規模ながら入院可能な設備を有する内科医院を経営している。或る日、このA地区がY県告示により、工業地域に指定された。これを知ったXは、都市計画法第9条第11項、建築基準法第48条第11項、同法別表第二(る)により、A地区に病棟などを建築することができなくなるとして、工業地域の指定の無効確認などを求める訴訟を提起した。Xの請求は認められるべきであろうか。学説や判例の動向に照らしつつ、論じなさい。

 W.以下に示す条項を読み、判例、学説の動向に留意しつつ、行政行為の理由の提示について論じなさい。

 行政手続法第8条第1項:「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。」

 同第14条第1項:「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」

 

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