行政法試験問題集・その65
大東文化大学法学部「行政法1」・「行政法1B」2017年度後期末試験問題〔2018年1月25日出題〕
●次の中から1題のみを選択し、解答しなさい。
1.水道法第15条第1項は「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。この「正当の理由」とはいかなる場合を指すのか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。
2.国税通則法第74条の2第1項は「国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(中略)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(中略)を検査し、又は当該物件(中略)の提示若しくは提出を求めることができる」と定める。また、同法第127条第2号は「第74条の2(中略)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」を「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定める。これらの規定の合憲性につき、判例、学説に照らして論じなさい。
3.A市の条例で不作為義務を定めており、その条例に基づいて命令を発したのに相手方が不作為義務を履行しない場合、A市はその相手方に対して強制執行をなしうるか。なしえないとしたら、いかなる措置を執ることが可能か。学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。
行政代執行法第1条:「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」
行政代執行法第2条:「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。」
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