行政法試験問題集・その67

 

国学院大学法学部「行政法1」2017年度追試験問題〔2018年2月6日出題〕

 

 次のT〜Vから1つだけを選択し、解答しなさい(2問以上解答した場合は0点とします)。

 T.国家公務員のXは、勤務時間外である休日に、自らが支持する政党の機関紙を某市内の公務員住宅に投函して配布した。これが国家公務員法第102条第1項および人事院規則147に違反するとして起訴された。この事件の行政法上の問題について、学説・判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

 参照条文 国家公務員法第102条第1項:「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」

 U.水道法第15条第1項は「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。この「正当の理由」とはいかなる場合を指すのか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。

 V.A市の条例で不作為義務を定めており、その条例に基づいて命令を発したのに相手方が不作為義務を履行しない場合、A市はその相手方に対して強制執行をなしうるか。なしえないとしたら、いかなる措置を執ることが可能か。学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

 参照 行政代執行法より

 第一条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。

 第二条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。


戻る