行政法試験問題集・その68

 

大東文化大学法学部「行政法1」・「行政法1B」2017年度後期追試験問題〔2018年2月10日出題〕

 

 ●次の中から1題のみを選択し、解答しなさい。

 1.埼玉県内の某公立高校では、入学式、卒業式などの行事において式場に国旗を掲揚し、教職員および生徒の全員で国歌を斉唱する。ところが、教職員のXは、卒業式における国歌斉唱の際に起立しなかった。これを理由として、埼玉県教育委員会はXを1か月の停職処分とした。Xはこの処分の取消しを求めて出訴した。Xの主張は認められるべきか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。

 地方公務員法第29条第1項:「職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

  一 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合

  二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

  三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」 

 2.水道法第15条第1項は「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。この「正当の理由」とはいかなる場合を指すのか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。

 3.A市の条例で不作為義務を定めており、その条例に基づいて命令を発したのに相手方が不作為義務を履行しない場合、A市はその相手方に対して強制執行をなしうるか。なしえないとしたら、いかなる措置を執ることが可能か。学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

 行政代執行法第1条:「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」

 行政代執行法第2条:「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。」


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