行政法試験問題集・その73

 

大東文化大学法学部「行政法1」・「行政法1B」2018年度後期末試験問題〔2019年1月24日出題〕

 

 ●次の中から1題だけを選択し、解答しなさい(2題以上について解答した場合には採点しない。なお、解答用紙に選択した問題番号を記すこと)。

 T.Xは、A市B地区で小規模ながら入院可能な設備を有する内科医院を経営している。或る日、このB地区がY県告示により、工業地域に指定された。これを知ったXは、都市計画法第9条第11項、建築基準法第48条第11項、同法別表第二(る)により、B地区に病棟などを建築することができなくなるとして、工業地域の指定の無効確認などを求める訴訟を提起した。Xの請求は認められるべきであろうか。学説や判例の動向に照らしつつ、論じなさい。

 U.X市の条例で不作為義務を定めており、その条例に基づいて命令を発したのに相手方が不作為義務を履行しない場合、X市はその相手方に対して強制執行をなしうるか。なしえないとしたら、いかなる措置を執ることが可能か。学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。

 参照 行政代執行法より

 第1条:「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」

 第2条:「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。」

 V.以下に示す行政手続法の諸規定を参照し、行政行為(処分)の理由の提示(理由付記)について、判例、学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

 第8条第1項:「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。」

 同第2項:「前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。」

 第14条第1項:「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」

 同第2項:「行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。」

 同第3項:「不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。」

 

 

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