行政法試験問題集・その81

 

大東文化大学法学部「行政法1」・「行政法1B」2019年度後期末試験問題〔2020年1月23日出題〕

 

 ●次の問題の中から1題だけを選択し、解答しなさい(2題以上について解答した場合には採点しません)。

 T 産業廃棄物処理業者のYは、X市内に廃棄物処理施設(本件施設)を設置し、使用を開始した。X市とYは、平成20年に本件施設に関し、使用期限を平成30年12月31日までとすること、Yはこの期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならないこと、などを内容とする公害防止協定を締結した。しかし、Yは平成31年になってからもなお本件施設を使用していたので、X市は、Yの本件施設使用の差止を求める訴訟を提起した。X市の請求は認められるべきであろうか。学説や判例の動向に照らしつつ、論じなさい。

 U 所持品検査が認められる範囲について、判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。

 警察官職務執行法第2条:「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」

 V 公認会計士のXは、株式会社Aの平成29年3月期、平成30年3月期および平成31年3月期における監査に際して、財務書類に重大な虚偽があるにもかかわらず故意に虚偽のないものと証明したとして、聴聞手続を経て、令和元年12月20日、公認会計士法第30条に基づき、内閣総理大臣から登録抹消の懲戒処分を受けた。しかし、Xは、この処分が行政手続法第14条に違反するものとして、令和2年1月20日に処分の取消を求めて出訴した。さて、Xの主張は認められるべきか。認められるとしたら、いかなる場合であるか。判例、学説の動向に照らしつつ、論じなさい。なお、懲戒処分については処分基準が存在します。

 行政手続法第14条第1項:「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」

 同第2項:「行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。」

 同第3項:「不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。」

  

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