行政法小演習室・その19

 

筑波大学大学院ビジネス科学研究科法曹専攻(法科大学院)「3.今回の演習問題(最終)」(2017年9月9日出題、9月16日締切

 

 ●最二小判平成24年4月20日民集66巻6号2583頁(113番)について

 @判決の論理展開を整理しなさい。

 Aこの判決は、改正条例の附則により損害賠償請求権および不当利得返還請求権を放棄したことについて議会の裁量権の範囲内であると判断したが、これは妥当か。また、本件について裁量権の逸脱・濫用を認めるとするならば、どのような論理構成が考えられるか。

 B千葉勝美裁判官の補足意見の概要を述べ、論評しなさい。

 C今回取り上げた「地方自治法の一部を改正する法律」(平成29年6月9日法律第9号)第1条により、地方自治法第243条の2が追加されたが、衆議院総務委員会における「審査」の段階で法律案に対する修正案が提出されており、次のような条文が提案されていた。

(職員等に対する損害賠償請求権等の放棄の禁止)

243条の2の3 普通地方公共団体が有する当該普通地方公共団体の職員の違法な第242条第1項に規定する行為又は怠る事実に関する当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に対する損害賠償又は不当利得返還の請求権は、法律若しくはこれに基づく政令に特別の定めがある場合又は当該行為若しくは怠る事実が避けることのできない事故その他やむを得ない事情によるものであると認められる場合を除くほか、放棄することができない。

 結局、修正案は否決されたが、このような規定を地方自治法に追加すべきであるか。見解を述べなさい。

 〔9月16日の講義時に提出。字数制限等はない。〕

 

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