サテライト日田(別府競輪場の場外車券売場)建設問題・第5編

  

  この問題も、ますます混迷の度を深めていくようです。今のままでは収拾がつかないような状態です。11月26日、第3編および第4編を掲載しましたが、また新たな動きがありました。今回は、朝日新聞社が運営しているasahi.comの大分版に掲載された2000年11月28日付および11月30日付の記事、そして大分合同新聞2000年11月30日付朝刊朝F版23面の記事を参照しつつ、たどってみます。

 11月27日、日田市の中央公民館で、サテライト日田設置反対の連絡会(17の団体が加入しているようです)が、設置反対市民総決起集会を開催しました。参加した日田市民は約400人でした。同代表の武内好高氏(日田商工会議所会頭)らは、「絶対反対!サテライト日田」と書かれたタスキやハチマキを身につけて臨んだとのことです。

 席上、武内氏は、「日田市は緑豊かなアメニティ都市づくりを目指して取り組んでいる。車券売り場が設置されると、根底から覆される。日田市民一丸となって、設置反対に猛進しよう」とあいさつし、市民の代表二氏もサテライト日田設置撤回まで戦う旨の決意を述べました。

 そして、「車券売り場施設は、日田のまちづくりの大きな障害で、容認できない」という要旨の反対決議文が、17団体の代表によって読みあげられ、採択された後、気勢をあげた、とのことです。

 29日には、サテライト日田設置反対の連絡会のメンバーが、やはりタスキとハチマキを身につけて別府市役所を訪れ、別府市議会に設置反対を申し入れました。同日、別府市は、サテライト日田設置の関連予算案(競輪事業特別会計補正予算案で、関係する機器のリース契約を内容とするようです)を市議会に提案することを表明し、市議会に議案を提示しており、その直後に設置反対が申し入れられたのです。応対には、別府市議会議長の三ケ尻正友氏らがあたりました。

 別府市議会は、12月4日から始まります。別府市は、日田市が今年6月に制定・公布・施行した「日田市公営競技の場外券売場設置等による生活環境等の保全に関する条例」の「法的性格を専門家と話し合い、同意をとる必要はないと考える」として、あくまでも予定通り補正予算案を提出し、サテライト日田を設置して車券を販売する構えです。

 また、第2編でもとりあげた市報べっぷ11月号の記事について、別府市助役の大塚茂樹氏は、記事を訂正するつもりがないことを表明し、経緯を説明するための回答もしないと述べています。また、業者による説明会、約400軒にのぼる戸別訪問でも6割から7割の賛成・同意を得ているとしております。

 これに対し、11月29日、日田市長の大石昭忠氏は、市報べっぷ12月号に訂正記事が掲載されなければ、日田市が別府市を名誉毀損などの理由により提訴すると表明しました(あくまでも記事の訂正を求めるようで、損害賠償請求はしないとのことです)。

 日田市側によれば、11月7日、日田市長名で、別府市長宛てに内容証明郵便を送り、10日以内の回答を求めましたが、何の反応もなかったとのことです。

 さらに、日田市は、仮にサテライト日田の設置を阻止できなければ、サテライト日田の車券売上に対して課税することも検討しております。大分合同新聞の記事からは必ずしも明らかでないのですが、横浜市が場外馬券売場への課税に際して採用する 法定外普通税を導入するものと思われます。

 しかし、別府市議会の中には、サテライト日田の設置の話は日田から「出たはずだ」といった声もあります。そうなると、市報べっぷの記事が正しいのか、日田市の主張が正しいのか、という問題は、まだ解決されていないことになります。

 別府市民がサテライト日田問題をどのように捉えているのかは不明ですが、武内氏は「別府市民の声とは同一価値ではないが、日田市民の声をご理解の上、ご決定をお願いしたい」と前置きをしてから反対決議文を読みあげたといいます。

 別府市議会では、特別予算案の審議に慎重を期すという姿勢が示され、武内氏らによる申し入れに応じる方針が示されたと言います。しかし、反対連絡会の決議文には「別府市の市政を疑うものであり」という文言が含まれており、これを問題視する声もあるようです。

 なお、これも上記asahi.comの大分版(11月30日)によるものですが、別府市は、補正予算について、日本自転車普及協会とリース契約を結ぶため、限度額を3億2100万円と利子負担分とする債務負担行為の設定を求め、返済を今年度から8年間とする、同額の助成が見込まれるため、市の持ち出しはない、と説明しております。

 12月4日からの別府市議会において、サテライト日田問題がどのように扱われるか、注目されます。しかし、予定通り設置されるとしても、あるいは設置が撤回されるとしても、今回の問題は日田市と別府市の双方に、大きな禍根を残すことになりそうです。

 

(2000年12月1日)

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