サテライト日田(別府競輪場の場外車券売場)建設問題・第6編

  

  これまで、サテライト日田問題を取り上げていながら、実際に現地を訪れる機会を見つけられず、忸怩たる思いをしていました。12月3日(日)、ようやく行くことができましたので、今回は、紀行文風に書いていきたいと思います。

 その前に、大分合同新聞2000年12月2日付朝刊朝F版27面に掲載された記事の内容を紹介しておきます。サテライト日田設置反対連絡会の武内好高氏は、12月1日の正午から、日田市役所での記者会見の席上、別府市が車券を発売しないように望む旨を示しました。同記事によれば、12月4日に、建設予定地で起工式が行われます(やはり12月1日に、建設会社の相談役が発表しました)。そして、12月9日、別府市でサテライト日田反対デモが行われる予定だとのことです。

 さて、12月3日の件に入りましょう。私は大分市に住んでいますが、大分市から日田市までは90km以上あり、久大本線では日田まで直通する特急列車が4往復、普通列車では3往復しかありません。そのため、愛車の黒いウイングロードXに乗り、大分自動車道大分光吉インターチェンジから日田インターチェンジまで1時間20分ほどをかけて運転しました。日田市は大分県の西部、久留米市や福岡市のほうが近いこともあるせいか、大分県という色彩が薄いように感じられます。

 日田インターチェンジを降りて国道212号線を日田市街方向に走り、国道386号線に入って、朝倉・甘木・福岡方向に走ると、すぐに南友田となります。インターチェンジからちょうど3q、道路の右側、パチンコ屋やゲームセンターなどが集まる一角があります。その一角の奥のほうに、問題の建設地があります。実測したところ、日田駅からでもちょうど3qでした。

 しかし、このあたりを走っていて最初に不思議に思われたのは、これだけ新聞などでも騒がれている割に、南友田の町内に「サテライト日田建設反対!」といった類の看板が一枚も見かけられないということです。何かの規制でもあるのか、別のところにあるのか、理由はわかりません。それにしても、あまりに目立たないため、私は、そのまま夜明温泉付近まで車を走らせてしまい、行き過ぎたことに気づいて、昼食をとってから引き返し、南友田のパチンコ屋やゲームセンターなどが集まる一角に戻ったのでした。

  この一角はアーバン・ピラミッドと総称されており、入口には駐車場とローソン、その隣にピエトロ大分日田店があります。パチンコ屋は駐車場のすぐ奥、国道から見ると正面にあります。何故か、駐車場の国道側に噴水があり、パチンコ屋の西側にもスフィンクスなどをかたどった何体かの像の口から水が出る仕掛けがある池がありました。パチンコ屋の東側にはゲームセンター、北側には健康温泉ランドがあります。

  パチンコ屋西側で道路の反対側にうどん屋があります。その隣に、鉄の柵で囲まれた敷地がありました。しかし、何の建設予定地かが書かれていません。実はこれが、サテライト日田の建設予定地なのです。看板も何も立っていないのは、近隣住民への配慮なのでしょうか。

  アーバン・ピラミッドのすぐ隣(東側)には大型の自動車用品販売店、反対側(南側)には、UNIQLO、新鮮市場グループ日田店、100満ボルト(家電販売店)などの大型店舗が並んでいます。少し奥には住宅が並んでいます。この国道を通る自動車も多く、買い物客らしき人たちの車が駐車場などにあふれています。典型的な郊外というところで、私の自宅付近とよく似ています(国道10号線沿いにあり、すぐそばに大型のスーパーマーケットや家電販売店、ファミリーレストラン、自動車用品販売店が並んでいます。また、自動車販売店が多く、本田自動車以外の主な日本車ならば、自宅近くで買うことができます)。

  もしかしたら、と思い、私は、アーバン・ピラミッドから日田駅前まで車を走らせました。中心街の一つ、三本松商店街を走ります。福岡のデパート、岩田屋の支店もあるのですが、人通りが少なく、閉まっている店も少なからず見受けられます。案の定、という思いでした。日田市の中心街は駅の南側、反対の北側は淡窓や豆田という、日田の古い街並みをよく保存するところで、多少は観光客などが歩いているようですが、商店街としてみるならば閑散としたところです。

  淡窓、豆田を抜け、日田市役所のあたりを走りました。市役所にも「サテライト日田建設反対!」といった看板や垂れ幕はないようでしたが、これは私の見落としかもしれません。車を降りた訳ではないのです。

  もう一度、駅の南側に出て、元町、日田温泉街などを走ってみましたが、やはり、閑散としているという印象をぬぐうことはできません。日田駅のそばに車を停め、商店街を歩き、何軒かの店にも入りましたが、客があまりいないようです。そして、この中心街にも「サテライト日田建設反対!」の看板などはありません。

  今回は、それほど長く日田市街を探索した訳ではありませんが、中心街空洞化問題は、日田市でも例外ではないようです。

  そして、車を運転している最中に、また、もしかしたら、と思ったのでした。サテライト日田建設反対運動は、単に風紀その他の問題ではない。日田市のまちづくり、武内氏の言葉を借りるのであれば「緑豊かなアメニティ都市づくり」に障害となるというのは、理由としてはわからなくもないが、南友田を歩いてみると少し食い違いがあるような気がする。これは、中心街空洞化の問題とも関連しているし、おそらく、そのことが反対運動の大きな要因になっているはずである、と。

  何故なら、サテライト日田を南友田という郊外に作れば、車券を買おうとする人々が運転する自家用車の交通量が増える。ただ車券を買うばかりでなく、パチンコ屋なども潤うし(競馬や競輪をやる人は、パチンコをやりながらレースの状況を見聞きする、ということが多い)、コンビニやレストランも潤う(昼食時など)。一家で行くなどとなれば、近所のスーパーマーケットなどの収入も増える。駐車場があるのも大きな魅力である。場合によっては、これに目をつけてさらに大型店舗が進出する可能性もある。これに対し、日田市の中心部はますます寂れる。道は狭いし、駐車スペースもあまりない。あっても有料である。駅があるといっても、列車の本数が少ないから使いにくい。こうなると、ただでさえ中心街再活性化に苦労しているのに、サテライト日田が南友田にできれば、中心街再活性化は一層困難になる。

  現地を車で走り、歩いてみて、このように思ったのですが、どこまで当たっているかは、全くわかりません。

 

(2000年12月4日)

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