17    法人所得その2

 

 

  「16  法人所得その1において述べたように、法人税法第22条第2項にいう益金は、資本等取引以外の取引により生じたあらゆる収益を意味する。しかし、法人税法自体が益金の計算について別段の定めなどを置く。以下、その状況などを概観する。

  (1)受取配当等

  第23条によると、内国法人が別の内国法人から受ける利益の配当や剰余金の分配のうち、完全子法人株式等および関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係るものについては、50%にあたる金額が益金に算入されない(同第1項)。完全子法人株式等および連結法人株式等については全額が益金に算入されない(同項)。これらは「確定申告書に益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り」適用され、「この場合において、同項(第1項。引用者注)の規定により益金の額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする」(同第7項)。

  ここで、完全子法人株式等は、同第5項によって「配当等の額の計算期間を通じて内国法人との間に完全支配関係があつた他の内国法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)の株式又は出資として政令で定めるものをいう」と定義される。また、関係法人株式等は、同第6項によって「第一項及び第四項に規定する関係法人株式等とは、内国法人が他の内国法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)の発行済株式又は出資(当該他の内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の二十五以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合として政令で定める場合における当該他の内国法人の株式又は出資(前項に規定する完全子法人株式等を除く。)をいう」と定義される。

  受取配当等の益金不算入は、前述のように、法人税は所得税の前取りであると解する説に基づくものである。すなわち、法人の受取配当等については、既に配当等を支払う法人の側が法人税を納めるのであるから、配当を受け取る法人の側にも法人税を課すると法人所得に対して重複して課税することとなる。これを避けるために受け取る法人の側について法人税を課さないものとするのである。但し、同第2項および第3項において益金不算入の不適用に関する規定がある。

  なお、第23条の2は、内国法人が外国子会社から受け取る配当等について益金不算入とする場合を規定する。

  (2)資産の評価益

  第25条第1項によると、所有資産の評価替えによる増加益は、原則として益金に算入されない。これは企業会計の思考方法に基づくものである。

  但し、同第2項および同第3項に該当する場合には、益金に算入されることとなる。

  まず、会社更生法または金融機関等の更生手続の特例等に関する法律による更生計画認可の決定があり、これに基づいてこれらの法律に従って評価換えを行い、帳簿価額を増額した場合には、その増額した部分の金額は、評価換えをした日が属する事業年度の所得金額を計算する際に、益金の額に算入する(同第2項)。

  次に、民事再生法による再生計画認可の決定があったことなどの事実が生じた場合に、法人が有する資産の価額について政令で定める評定を行っているときには、その資産の評価益は、その事実が生じた日が属する事業年度の所得金額を計算する際に、益金の額に算入する(同第3項)。

  (3)還付金の益金不算入

  第26条第1項によると、法人税、所得税など一定の公租公課の還付を受けた場合、または還付を受けるべき金額が未納の租税に充当された場合には、その部分が益金に算入されない。

  これは、第38条により、法人税や所得税など一定の公租公課が損金に算入されないことと表裏一体の関係にある。

  なお、損金に算入される事業税や固定資産税などが還付された場合には、益金に算入される。

  (4)有価証券の譲渡益および譲渡損

  法人が有価証券を譲渡した場合に、譲渡益が生じた場合には益金に算入され、譲渡損が生じた場合には損金に算入される。これは第61条の2第1項によるものであり、同第2項以下において合併などに際しての詳細が規定されている

  ※この講義ノートでは省略する。金子宏『租税法』〔第十七版〕(2012年、弘文堂)305頁を参照。

  (5)リース取引

  リース取引にも様々なものがあり、中には、形式的には賃貸借契約であるが、実質的には売買に相当する取引も存在する。リース期間終了後に資産の所有権が賃貸人から賃借人に無償で移転するというものである。このような場合について、かねてから通達によって売買として扱われていたが、法令の根拠がなかったために問題が生じていた。

  そこで、所得税法施行令第184条の2および法人税法施行令第136条の3が制定され、一定の場合については売買取引または金融取引として取り扱うこととした。これは、法令の根拠という点において一歩前進と言いうるものであったが、所得税法および法人税法において規定されていないことについて、租税法律主義の観点から批判がなされていた。そこで、平成19年度改正により、所得税法および法人税法に規定を新たに設けることとなった。

  まず、所得税法第67条の2第1項は「居住者がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する」と定める。法人税法第64条の2第1項も同旨である。

  この両規定の趣旨は、リース取引が行われた場合には、賃貸人から賃借人への引渡しがなされたときに売買があったものとみなす、というものである。しかも、最終的に所有権の移転を伴うリース取引はもとより、それとは異なって売買とはみなされなかったリース取引についても、租税法においては売買契約とみなすことになる。

  ※金子・前掲書308頁は「所有権移転型リース取引」と表現する。

  ※※金子・前掲書308頁は「所有権移転外リース取引」と表現する。

  次に、所得税法第67条の2第2項は「居住者が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する」と定める。法人税法第64条の2第2項も同旨であり、「内国法人が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する」と定める。

  この双方の規定により、リース契約を条件に試算の売買を行った場合で実質的には金銭貸借と認められる場合には、売買がなされなかったものとみなされ、しかも売買の譲受人から譲渡人に対する金銭の貸付があったものとみなされる。従って、租税法においては譲渡と賃貸の双方が無視され、金銭貸付という一つの取引だけが行われたものとみなされることとなる。

  以上は、全てのリース取引について妥当するという訳ではない。所得税法第67条の2第3項は「前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう」として「当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること」(第1号)、「当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること」(第2号)の二つの要件を掲げる。法人税法第64条の2第3項も全く同じ文言である

  ※その他、詳細は金子・前掲書307頁を参照

 

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(2011年3月16日掲載)

(2011年8月19日修正)