行政法小演習室・その6

 

大東文化大学法学部・行政法1(2008年 5月15日出題、5月22日締切)・国学院大学法学部・行政法T(2008年5月9日出題、5月16日締切)共通問題

 

●これまでの講義内容に関係する演習問題(発展的内容のものもある)。

 

1.(2003年行政書士本試験)

  行政に関する公法と私法との関係についての次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らして妥当なものはどれか。

  @食品衛生法の許可を得ないで取引をなした場合においては、消費者保護の法理により、その取引に関する売買契約は私法上無効であり、買主は代金の返還を請求することができる。

  A公営住宅に入居するにあたって、入居者は地方公共団体から使用許可を受けなければならず、入居者と地方公共団体との間には公営住宅法ならびに関係条例が適用されるから、借家法(現在の借地借家法)は適用される余地はない。

  B防火地域内にある耐火構造の建築物の外壁を隣地境界線に接して設けることができることができるとしている建築基準法第65条の規定は、相隣関係に関する民法第234条の規定の特則として、民法の規定の適用を排除するものである。

  C道路を利用する利益は反射的利益であり、建築基準法に基づいて道路位置の指定がなされている私道の敷地所有者に対し、通行妨害行為の排除を求める人格的権利を認めることはできない。

  D公営住宅の使用関係は基本的に私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはないから、公営住宅の入居者が死亡した場合には、その相続人は当該公営住宅を使用する権利を原則として承継する。

 

2.(2005年度法学検定試験3級行政コース。一部改)

  (1)行政機関に関する以下の記述のうち、誤っているものを選びなさい。

  @「環境省」ではなく、「環境大臣」を行政機関とよぶこともある。

  A一定の事務配分の単位としての行政組織を行政機関とよぶこともある。

  B補助機関でも、行政処分を行う権限の委任を受けると行政庁の地位を取得する。

  C国において、行政主体の意思を決定して外部に表示する権限をもつ機関を執行機関という。

  (2)上で誤っているものとして選んだ記述を、正しいものに直しなさい。

 

3.(2007年度新司法試験短答式問題)

  行政庁相互の関係に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組み合わせを、後記@からGまでの中から選びなさい。

  ア.上級行政庁は、その一般的な指揮監督権に基づき、法律の特別の根拠がなくとも、下級行政庁の権限を当該下級行政庁に代わって自ら行使することができる。

  イ.法律の規定に基づいて権限の委任が上級行政庁から下級行政庁に対して行われた場合、当該権限が受任行政庁に完全に移るため、当該権限の行使に関する限り、両者の間には指揮監督関係は存在しない。

  ウ.上級行政庁の下級行政庁に対する指揮監督権には、一般に、下級行政庁の行った違法・不当な行為の取消し又は停止を当該下級行政庁に命ずる権限も含まれる。

  @ア○ イ○ ウ○

  Aア○ イ○ ウ×

  Bア○ イ× ウ○

  Cア○ イ× ウ×

  Dア× イ○ ウ○

  Eア× イ○ ウ×

  Fア× イ× ウ○

  Gア× イ× ウ×

 

4.(2006年度新司法試験短答式問題)

  行政機関の種別に関する次の記述について、アからエまでの下線部の各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。

  行政機関には、行政庁、諮問機関・参与機関、執行機関、補助機関等の区別があるとされる。まず、行政庁とは、行政主体の法律上の意思を決定し外部に表示する機関をいう。行政処分等の権限を行使する行政庁として法律上規定されている例としては、内閣府や、法務省等の各省や、東京都、北海道、京都府、沖縄県等の都道府県や、大阪市、横浜市等の市町村等がある。(ア)

  行政庁から諮問を受けて意見を答申する機関を諮問機関という。参与機関と異なり、これらの機関の意見に行政庁は必ず従わなければならない訳ではない。法制審議会等の各種審議会が諮問機関の例である。これらの組織は、国家行政組織法上、審議会等として位置付けられ、同法にいう委員会とは区別されている。(イ)国家行政組織法上の委員会の例としては、中央労働委員会、公害等調整委員会がある。

  行政目的を実現するために、代執行、直接強制、即時強制などの実力を行使する機関を執行機関という。警察官、消防職員、自衛官、海上保安官等がこれに該当する。(ウ)また、学説上は、行政庁の事務や会計の処理を検査し、これらの処理が適正に行われているかを監査する機関のことを指して、監査機関と呼ぶ考え方もある。国の機関の会計処理等を検査する会計検査院、地方公共団体の財務に関する事務処理等を監査する監査委員等がこれに該当する。(エ)

 

問題の解説など

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