行政法小演習室・その7
大東文化大学法学部・行政法1(2008年5月29日出題、 6月5日締切)・国学院大学法学部・行政法T(
2008年5月23日出題、5月30日締切)共通問題
1.(2005年度法学検定試験3級行政コース。一部改)
(1)法律の留保に関する以下の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
@侵害留保説によれば、国民の自由と権利を侵害する行為については法律の留保が必要である。
A行政のすべての活動について法律の根拠が必要であるとする見解は、全部留保説とよばれ、現在の判例・通説である。
B権力的な行為であれば、侵害的か授益的かを問わず法律の根拠が必要だとする見解は権力留保説である。
C重要事項留保説(本質留保説)は、行為が授益的か侵害的か、あるいは権力的か非権力的かにかかわらず、重要な事項は法律で定めるべきだとする説である。
(2)上の問題で誤っているものとして答えた選択肢について、誤っている理由を簡単に(3行以内で)説明しなさい。
2.(1995年度国家U種。設問形式を一部変更。なお、教科書も隈なく参照すること!)
(1)法律による行政の原理に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
@法律の法規創造力の原則とは、法律のみが法規を創造することができるという原則であり、これによれば、国民の権利義務に関する行政立法は、法律の授権なしに行われてはならないということによる。
A法律の優位の原則とは、行政活動は法律の定めに違反して行われてはならないという原則であり、この原則はあらゆる行政活動について妥当するものとされている。したがって、法律の定めよりも厳しい内容の行政指導をすることは、すべてこの原則に反し許されないこととなる。
B法律の留保の原則とは、一定の行政活動が行われるためには法律の根拠を必要とするという原則であり、その妥当する範囲については多くの考え方があるが、国民主権主義に立つ現行憲法の下では、すべての行政活動について法律の根拠を要すると解する全部留保説が通説である。
C公務員の勤務関係、国立学校の利用関係のようないわゆる特別権力関係においては、法律による行政の原理がそのままでは適用されず、特別権力関係内部における処分の相手方は、当該処分において裁判所に救済を求めることができない。
D違法な行政行為の取消しは、法律による行政の原理の要請するところであるから、それが不利益処分であると授益的処分であるとを問わずに、処分庁は当該違法な処分を直ちに取り消さなければならない。
(2)上で誤っているものとして選んだ記述のそれぞれを正しいものに直しなさい。なお、解答の際には、上の選択肢の記述を利用すること。