サテライト日田(別府競輪場の場外車券売場)建設問題・第7編

  

 このところ、日田市のホームページを見ることが多くなりました。少なくとも大分県内にある市町村の公式ホームページで「掲示板」を持つところは、日田市および中津市以外になく、日田市の「掲示板」に、サテライト日田問題に関する投稿が多くなってきたからです。

 その「掲示板」を見て、日田市民および日田市出身者の方々が抱く、サテライト日田建設に対する強烈な反対の意思を、改めて思い知らされました。また、そこから教わることも多く、一種の傍観者としての立場にある私は、限界を強く感じています。

 例えば、前回、南友田の町内に「サテライト日田建設反対!」といった類の看板が一枚も見かけられないことに違和感を覚えたという趣旨を記したのですが、後に或る方が、このホームページに記せないような事情があるということを教えて下さいました。また、平成8年にも市民による大規模な反対運動があり、それで沈静化したと思ったのに今ごろになって、と書かれた方もおられ、その怒りが切々と伝わってきました。

 私がサテライト日田の建設予定地を訪れた日の翌日、すなわち12月4日、施設設置申請者のM建設会長氏ら10名が出席して起工式が行われました。大分 asahi.com/ニュースによれば、M建設会長氏は「通産省など関係官庁には10月末から11月初めにかけて着工する旨を説明した。完成の目途は、別府市議会の議決後、別府市と協議をした後でないと分からない」と語ったそうです。さらに、今後、建物部分について整備を行った上で、来年の1月末から2月初めの間に一部が完成すること、さらにサテライト日田の設置による街の活性化を願って努力したい、遊びをコンセプトにして大人の健全な遊び場を提供するのがまちづくりの一環ではないかという旨などを語ったそうです。

 同日、別府市は、第5編でも記したサテライト日田関連の特別補正予算案を市議会に提出しました。約3億2000万円の支出になります。

 12月6日、別府市議会(議案質疑)でサテライト日田問題が取り上げられました。新聞報道によると、市議会の関心は思った以上に強く、11人の発言者のうち10人がこの問題に関する質問をしたとのことでした。別府市の態度は、これまでの経緯からしても明らかなもので、サテライト日田設置計画は法律に従って進んでいる、「日田市公営競技の場外券売場設置等による生活環境等の保全に関する条例」にはとらわれない、というものでした。そして、9月以降、どのようにして日田市および同市民の理解を得ようとしたのかについて、市当局は、連絡をとったが会うことを拒否されたという旨を述べています。県の仲裁について質問した議員の質問に対しては今後の検討に委ねたいと答えるに留まり、赤字になる可能性についてはそうならないと、さらに訴訟になった場合には必要に応じて対応したい、と答えました。

 翌7日、別府市議会(一般質疑)が行われました。以下、朝日新聞2000年12月8日付朝刊10版31面および大分合同新聞同日付朝刊朝F版23面の報道によりつつ、市長の井上信幸氏による発言の内容などを紹介しておきます。

 「これまで担当助役や部長が(日田市などと)誠意ある交渉をしてきたと信じている。今後も(日田市や日田市民の)理解を得るよう努力していく」(大分合同新聞より)

 「日田の皆さんの了解を得るべく、今後も誠意ある行動させていただきたい」(朝日新聞より)

 「別府競輪50年という歴史への使命感もある」(朝日新聞より)

 「当初は周囲が賛成してたので設置業者は通産大臣に申請した。経過をくみ取ってもらいたい」(朝日新聞より。なお、これに対して、日田市のホームページにある掲示板には、猛烈な反発が寄せられています)

 「まさか許可は出ないだろうと判断していたら6月に出た。日田の皆さんは、設置業者、あるいは通産省に問題提起してもらえればよかったが、なぜか別府に向いている」(朝日新聞より)

 「無駄な争いは嫌いなので、日田市のおっしゃることを黙って聞かせていただいた」(朝日新聞より)

 「競輪事業を赤字に転落させず、安定化させるという使命がある。当初、溝江建設が予定地周辺の賛成を得て設置申請をした。議員の皆さんに協力をお願いします」(大分合同新聞より。日田市のホームページにある掲示板には、猛烈な反発が寄せられています 。)

 別府市議会議員からは、「これだけ反対がある中、車券販売ができるのか」、「溝江建設が議決を前に着工したのは議会軽視」などの質問・意見が出されました(大分合同新聞による)。一方、これは両新聞の記事に出ておらず、結局わからなかったのですが、日田市民の方によれば、日田市民が金を出してM建設に工事を止めてもらえばよいという意見も出たとのことです。本当にこんな発言が出たとしたら、不見識にも程があると言いたくなるほどのものです(実際、これは日田市民の怒りを買っています)。

 また、主題から外れますが、この日の市議会では、別府市長自身が社長を務められる第3セクターの扇山ゴルフ場での使途不明金問題も扱われており、或る意味において、別府市側にとっては苦しい市議会であったと言いうるでしょう。

 なお、12月9日、日田市側は、別府市中心部でデモ行進をすることを決定しています。日田市のホームページにある掲示板には、東北某県の方が手弁当で参加するという旨の書き込みをされておりました(注:後にわかったのですが、この方は、掲示板の操作を誤ったとのことで、実際は日田市民でした)。

  

(2000年12月9日)

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