サテライト日田(別府競輪場の場外車券売場)建設問題・第13編

  

 サテライト日田問題は、2000年12月の別府市議会において「継続審査」とされたことにより、年を、そして世紀を越えることとなりました。そこで、今回からは第二部として、引き続きこの問題を扱っていきたいと思います。

 まず、2001年1月7日、この問題を扱った「噂の! 東京マガジン」(TBS系)が、13時から放送されました。第12編でも書きましたように、私はこの番組の取材を受けました。2000年12月21日、TBSの方など取材班4氏が、大分大学にある私の研究室を来訪されました。この模様は録画されていたのですが、数日後、私の携帯電話に、取材のシーンは放映されないかもしれないとの連絡を受けました。取材班の方々は、このホームページを御覧になっていたようで、非常に綿密な取材をなされておりました。それは、当日の放送内容からもわかります。私自身は、川崎市の実家で見ていましたし、録画もしています。多くの方が御覧になられたでしょうし、TBSのホームページでも内容を見ることができますので、ここで詳しく紹介することは無用でしょう。

 ちなみに、12月27日、私が大分を離れようとしていたその時に、大分大学地域連携推進室経由でTOS(テレビ大分)から電話が入り、意見などを聞かれました。時間もなかったので、このホームページのアドレスを教え、それを参考にしてくれるように頼んだのでした。TOSで私の意見が紹介されたのか否かなどについては、わかりません

 ここで、あえて苦言を申し上げておきます。この問題は、昨日今日に起こったものではないのですから、それなりの下調べをしておいていただきたいのです。いくら私のコメントが欲しいということであっても、何を答えるべきか迷うような質問をいただいても、的確な返事をすることはできません。一から話をして欲しいというのであれば別ですが、取材する側が或る程度の理解もなく尋ねるとしても、取材される側としては何も答えることはできません。

 実は、「噂の! 東京マガジン」は、同じTBS系列であるOBSでは放映されておらず、ケーブルテレビを別とすれば、福岡県に隣接し、RKBを受信できる日田市や中津市などでしか見られません。そのことにより、大分県内で十分な効果があったどうかは疑問であると同時に、全国的に別府市のイメージが悪化するのではないかという懸念もあります。

 また、当日の放送では、私の研究室での取材シーンは登場せず、このホームページのアドレスなども紹介されておりません(翌日、私が大分に戻った時、お詫びの電話が入りました)。

 しかし、番組の内容からみても、また、私自身の立場からしても、私の意見が正面から番組中で扱われなかったことは、正解であったと考えております。仮に扱われた場合、抗議や非難がよせられたことでしょう。番組自体は良いものであったと思いますが、問題の性質上、多くの視聴者が抱くイマージュは、やはり別府市当局および別府市民に対する反発でしょう。また、私の意見が番組で紹介されていたとすれば、どちらか一方が悪いと決め付けているようにもとられかねません。それは私の意思にも反しますし、行政法学者としての立場にも関わってきます。

 このようなことを申し上げるのは、何も、私が新聞やテレビなどの取材に応じないということではありません。むしろ、協力いたしたいと思いますし、そこで私の見解も述べさせていただきたいと考えております。それをどのように扱うかは、取材された方々の御判断に委ねるべきことです。そして、このホームページでサテライト日田問題を扱っているのは、何よりも、行政法学者として、そして大分県民としての私の意見を、個人として明らかにしていきたいからに他なりません。

 そして、2001年1月11日付の日本経済新聞朝刊西12版39面に、サテライト日田問題に関する記事が掲載されておりましたので、紹介しておくこととしましょう(ちなみに、私は日経を購読していますが、サテライト日田問題が扱われたのは、おそらく初めてではないでしょうか。少なくとも、私の記憶の中で、日経の紙面でサテライト日田問題に関する記事を読んだことはありません)。

 1月10日、別府市の大塚茂樹助役は、日田市役所を訪れ、この問題に対して説得を試みました。しかし、日田市の幹部や担当職員が、他の行事予定を理由として面会を断ったとのことです。そこで、大塚助役は、日田市内の市民団体への説得活動を進めていく考えを、その場に居合わせた日田市職員に伝え、市役所を後にしました。なお、別府市側は、市報べっぷ11月号に掲載された記事について、事実関係に誤認などはないので訂正しないとの立場を堅持しております。

 しかし、サテライト日田問題は、既に大分県内のものに留まらず、全国的問題の一部となっています(同様の問題が東京などでも存在します)。そのため、別府市は、市報の記事を含めて、微妙な対応を強いられます。

 また、「噂の! 東京マガジン」でも取り上げられていましたが、公営競技について、所轄官庁の姿勢に違いがみられることも、大きな問題です。少なくとも、競輪事業、とりわけ場外車券売場について、経済産業省は方針を見直さなければならないと思われます。何故なら、このような施設について地元市町村の同意などを法令上の要件としていないのが競輪事業だけであるからです。公営競技についても縦割り行政の弊害がみられると評価するのは行きすぎでしょうか。

 急いで付け加えておきますが、私は、公営競技、さらに宝くじなどに全く反対の立場を取る訳ではありません。公営競技などの収益金が、地方公共団体の事業、例えば公立学校の増設や福祉事業の推進に役立っていることを知っているからです。また、仮に公営競技を全廃するとするならば、違法な賭博事業が拡大するおそれがあります。人間は、やはりどこかに欲望を持っていますし、捨てられるものではありません。また、公営競技に関連する雇用は、想像以上に幅の広いものです。こうした雇用の場を、何の配慮もなく、ただ教育などに有害だから、あるいは赤字だからといって廃止するのも、無責任なことです。「かごに乗る人作る人、そのまたわらじを作る人」という言葉を忘れてはなりません。

 しかし、サテライト日田問題の場合は、既に存在する公営競技事業を縮小・廃止するというものではありません。新たな施設を、全く別の地に作ろうとするのです。そうであれば、少なくともその地の利益になるように配慮をしなければ、到底、理解を得ることはできません。

 

(2001年1月13日)

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