24 相続税その1 相続税と贈与税との関係、相続税の性質、納税義務者
1.相続税と贈与税との関係
日本の相続税および贈与税は、いずれも相続税法に規定されている。日本の国税は、ドイツにならい、租税ごとに独自の法律を根拠とするのであるが、その例外が贈与税である。勿論、これには理由がある。贈与税は相続税を補完するものと位置づけられているため、独立した法律ではなく、相続税法において定められているのである。
相続税は、人の死亡によって財産が移転する機会に、その財産に関連して課される租税である。この機会の典型は法定相続(狭義の相続)であるが、遺贈※および死因贈与※※も含まれる。
※遺贈とは、単独行為たる遺言によって遺産を処分することをいう。民法第964条は「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない」と定め、包括遺贈(遺産の全体またはその何分の1として行う遺贈のこと。同第990条により、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する)も特定遺贈(特定の物や権利、または一定額の金銭を与える遺贈をいう)も認める。
※※死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる契約である。単独行為に基づくものでない点において遺贈と異なるが、民法第554条により、原則として遺贈の効力に関する規定(同第991条以下、同第1031条以下)が準用される。
これに対し、贈与税は、生前贈与によって財産が移転する機会に、その財産に関連して課される租税である。相続税のみが存在し、贈与税が存在しないとすると、生前に財産を贈与すれば相続税の負担を簡単に回避できる。そのために、贈与税が設けられた。贈与税が相続税の補完税としての性格を有するとされるのは、このような歴史的経緯によっている。
そのため、相続税と贈与税とが共通の取り扱いを受けることもある。財産の評価が典型的である。
なお、シャウプ勧告は、両税を統一するような累積的取得税の採用を勧告した。実際に採用されたのであるが、3年ほどで廃止された。しかし、両税の統合が世界的傾向となっている。
2.相続税の性質―遺産税か遺産取得税か―
既に述べたように、相続税は人の死亡によって財産が移転する機会に着目して課される租税である。しかし、相続そのものについての考え方が分かれることもあり、相続税についても制度の組み立て方が分かれ、相続税の性質を分けることになる。
一つのモデルは遺産税である。これは英米法系のものであり、人が死亡した場合に、彼※の遺産を対象として課税する。これは純粋な財産税である。他にもいくつかのタイプが存在するが、いずれにせよ、被相続人の遺産そのものの額に注目している。被相続人が生存している間に蓄積した富の一部を、彼の死亡にあたって社会に還元すべきである、という思考に基づく。次にあげる遺産取得税に対して「富の世代間の継承を歪め」ないという利点を持つのであるが※※、三木義一教授が述べるように、この思考は、結局、被相続人の死亡をきっかけとして過去の所得を把握し、遡及して課税することと変わりがなく※※※、租税回避や租税逋脱などがあったことを前提とするかのような説明にもなっており、かなり問題があるものである※※※※。
※ここにいう彼は男性も女性も含む。日本における古語の用法である。
※※小西砂千夫『財政学』(2017年、日本評論社)75頁。
※※※実際に、所得税や財産税などの後払いというような説明がなされることもある。
※※※※三木義一『よくわかる税法入門』〔第4版〕(2006年、有斐閣)251頁を参照。三木義一編著『よくわかる税法入門』〔第11版〕(2017年、有斐閣)258頁[奥谷健担当]も、ほぼ同一の内容である。
もう一つのモデルが遺産取得税であり、日本の相続税法の基本ともなっている。ヨーロッパ大陸法系のものであり、こちらのほうが世界的潮流ともなっている。遺産取得税は、被相続人ではなく、相続人に着目する。相続などの機会によって被相続人の遺産を、いわば不労所得として入手した相続人の担税力に注目するのである。この考え方によると、相続税は所得税の補完税という意味合いを帯びることになる。そうであるならば、所得税として扱ってもよいように思われるかもしれないが、取得財産の評価額が往々にして巨額になることなどから、所得税とは別の体系にしたということになる。
相続人間の納税負担の公平などに鑑みれば、遺産税方式よりも遺産取得税方式のほうが優れている。大日本帝国憲法時代の相続税は遺産税方式であったが、日本国憲法の下における相続税は、シャウプ勧告を受けて遺産取得税方式に移行した。しかし、1958(昭和33)年改正で、遺産取得税方式を基本としつつも遺産税方式を加味した日本独自の方式に変更された。これは、法定相続分課税方式による遺産取得税方式と言われており、日本国憲法制定後も農村での長子相続が続いていたこと(純粋な遺産取得税方式では長子の納税負担が過度に重くなる)、遺産分割を隠蔽または仮装する例が多かったことから※、遺産についていかなる分割が行われようとも相続税の総額がほぼ同じになるように設計された制度である。ただ、この法定相続分課税方式による遺産取得税方式は、実際の算定がかなり複雑になる上に、不合理な結果を生み出しているのであるが、これについては「25 相続税その2 相続税の課税物件、課税標準および税額の計算」において取り上げる※※。
※小西・前掲書75頁は、遺産取得税方式が一般的に「相続者を増やすことで税負担を小さくする誘因が働くこと」ものであることを指摘する。
※※金子宏『租税法』〔第十八版〕(2013年、弘文堂)536頁においても述べられているように、「平成20年度税制改正の要綱」において純粋な遺産取得税の体系に戻すことが予定されていた。しかし、2009年度からの施行は見送られた。なお、この記述は同書〔第二十二版〕(2017年、弘文堂)にはない。
3.相続税の納税義務者
相続税の納税義務者は、原則として、相続、遺贈または死因贈与(以下、相続等)によって財産を取得した個人である。
平成29年度改正により、相続税法第1条の3は従来以上に複雑な規定となったが、これは、経済産業省の要望に拠るところが大きいとみられる(最近の税制改正の全般に見られる傾向である)。
「平成29年度税制改正(租税特別措置)要望事項」(経済産業省貿易経済協力局貿易振興課)によると、「日本で就労する一定の要件を満たす高度外国人材等が、相続によって取得・贈与する国外財産に係る相続税・贈与税の見直しを図る」とされ、さらに、次のように説明されている(http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2017/zeisei_r/pdf/kokuzei_youbou.pdf
高度外国人材等が働きやすい環境を整備することで、日本企業の国際化及び外資系企業による国内進出や対日直投を後押しする。
(2)施策の必要性
現行の相続税・贈与税においては、日本人のみならず、日本で就労する外国人が国外財産を相続(取得・贈与)する際にも課税関係が生じるが、下記のようなケースにおいて、国外財産に本国よりも重い税負担が課される可能性があるために、高度外国人材等が来日を取り止めるという事態が近年生じている。
@日本に単身赴任で在留する外国人が死亡し、国外財産を国外に居住する外国籍の者に相続する場合
A日本に家族帯同で在留する外国人が死亡し、国外財産を当該家族に相続する場合
B日本に在留する外国人の親族等(非居住者かつ外国籍)が国外で死亡し、国外財産を当該外国人が相続する場合
政府の成長戦略において掲げられている、高度外国人材等の受入れ促進及び外資系企業による国内進出や対日直投の増加を実現するためには、外国人に対する国外財産に係る相続税等の規定を見直し、来日阻害要因を取り除く必要がある。」
これを受けるような形で、相続税法第1条の3第3項は、次のように規定する。
「第一項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 一時居住者 相続開始の時において在留資格(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一(在留資格)の上欄の在留資格をいう。次号及び次条第三項において同じ。)を有する者であつて当該相続の開始前15年以内においてこの法律の施行地に住所を有していた期間の合計が10年以下であるものをいう。
二 一時居住被相続人 相続開始の時において在留資格を有し、かつ、この法律の施行地に住所を有していた当該相続に係る被相続人であつて当該相続の開始前15年以内においてこの法律の施行地に住所を有していた期間の合計10年以下であるものをいう。
三 非居住被相続人 相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有していなかつた当該相続に係る被相続人であつて、当該相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがあるもののうち当該相続の開始前15年以内においてこの法律の施行地に住所を有していた期間の合計が10年以下であるもの(当該期間引き続き日本国籍を有していなかつたものに限る。)又は当該相続の開始前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがないものをいう。」
以上を踏まえた上で、相続税の納税義務者を概観する。
〔1〕個人としての納税義務者
(1)無制限納税義務者
相続税法第2条第1項により、相続または遺贈により取得した財産の全部に対して納税義務を負う者である。従って、財産が国内にあるか国外にあるかを問わない。次の者が該当する。
@同第1条の3第1項第1号イに該当する者
納税義務者は、相続等によって財産を取得した個人で、財産取得時に日本国内に住所を有しているものであり、かつ、一時居住者でないものである。国籍は問わない。また、被相続人の住所が日本国内にあるか否かを問わない。
A同ロに該当する者
納税義務者は、相続等によって財産を取得した一時居住者である。この場合には、被相続人が一時居住被相続人でも非居住相続人でもない者であるという条件が付される。
B同第2号イ(1)に該当する者
納税義務者は、日本国籍を有し、財産取得時に日本国内に住所を有しておらず、かつ、相続等の開始前10年以内に日本国内に住所を有したことがある者である。この場合には、被相続人の住所が日本国内にあるか否かを問わない。
C同(2)に該当する者
納税義務者は、日本国籍を有し、財産取得時に日本国内に住所を有しておらず、かつ、相続等の開始前10年以内に日本国内に住所を有したことがない者である。この場合には、被相続人が一時居住被相続人でも非居住相続人でもない者であるという条件が付される。
D同第2号ロに該当する者
納税義務者は、財産取得時に日本国内に住所を有しておらず、かつ、日本国籍を有していない者である。この場合には、被相続人が一時居住被相続人でも非居住被相続人でもない者
@同第1条の3第1項第3号に該当する者
納税義務者は、財産取得時に日本国内に住所を有する者で、第1号に掲げる者でないものである。従って、相続人が一時居住者であり、かつ、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人のいずれかである場合が該当する。
被相続人=一時居住被相続人、非居住被相続人のいずれかである者
b.相続人=財産取得時に日本国内に住所を有しておらず、かつ、日本国籍を有していない者
被相続人=一時居住被相続人、非居住被相続人のいずれかである者
(3)相続時精算課税を選択した者(同第5号)
納税義務者は、被相続人から生前贈与を受け、その際に相続時精算課税制度(同第21条の9第1項)の適用を選択した相続人である(同第3項により、贈与税を納めている。なお、第1条の3第1項第1号ないし第4号に該当する者は除かれる)。
以上のうち、(1)および(2)を図示すると、次のようになる。
相続人等 被相続人等 |
国内に住所あり |
国内に住所なし |
|||||
一時居住者でない者 |
一時居住者 |
|
|
||||
10年以内に住所あり |
10年以内に住所なし |
||||||
国内に住所あり |
無制限 |
無制限 |
|
無制限 |
無制限 |
||
|
一時居住被相続人 |
無制限 |
制限 |
無制限 |
制限 |
制限 |
|
国内に住所なし |
10年以内に住所あり |
無制限 |
無制限 |
無制限 |
無制限 |
無制限 |
|
|
過去15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である者 |
無制限 |
制限 |
無制限 |
制限 |
制限 |
|
10年以内に住所なし |
無制限 |
制限 |
無制限 |
制限 |
制限 |
||
(財務省「相続税の改正」(http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/explanation/pdf/p0576-0581.pdf)を基にして、講義担当者が作成した。)
〔2〕例外など
租税回避を防止する見地、または(租税回避の意図はないとしても)税負担の不当な減少を回避する見地から、個人でない者に相続税が課される場合がある。また、個人であっても法定相続人等でない者に相続税が課される場合もある。
@同族会社等の行為または計算
同族会社等とは、法人税法第2条第10号に規定する同族会社または所得税法第157条第1項第2号に掲げる法人のことである(相続税法第64条第3項)。
相続税法第64条第1項は、同族会社等の行為または計算のうち、これを容認すると「その株主若しくは社員又はその親族その他これらの者と政令で定める特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるとき」に、税務署長に「相続税又は贈与税についての更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、課税価格を計算することができる」権限を与える。
ここにいう「行為」は、契約であっても単独行為であってもよい。例えば、主要な株主からの財産の死因贈与や低額買受は否認の対象となる。他方、主要でない株主の単独行為は否認の対象とならない。
また、「特別の関係がある者」とは、相続税法施行令第31条により、「株主又は社員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの」(同第1号)または「株主又は社員たる個人の使用人及び使用人以外の者で当該個人から受ける金銭その他の財産によつて生計を維持しているもの並びにこれらの者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの」(同第2号)と定義される。
相続税法第64条第1項は、同族会社の行為計算の否認を定める法人税法第132条と同じ趣旨の規定である。
A法人組織の再編成(相続税法第64条第4項)
第64条第4項は、法人組織の再編成による租税負担の不当な減少を防止するため、「合併、分割、現物出資若しくは法人税法第二条第十二号の六に規定する事後設立又は株式交換若しくは株式移転(以下この項において「合併等」という。)をした一方の法人又は他方の法人(当該合併等により交付された株式又は出資を発行した法人を含む。以下この項において同じ。)の行為又は計算で、これを容認した場合においては当該一方の法人若しくは他方の法人の株主若しくは社員又はこれらの者と政令で定める特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、税務署長は、相続税又は贈与税についての更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、課税価格を計算することができる」と定める。この規定についても、第64条第1項などと同じような解釈が通用するであろう※。
※金子・前掲書550頁。
B持分の定めのない法人
持分とは、各共同所有者がその目的物について有する権利のことである。また、会社法では合名会社、合資会社および合同会社を持分会社と総称しており(同第575条)、社員の会社財産に対する権利の割合を指す(同第611条など。但し、同第585条第1項においては社員たる地位を意味するので注意!)。
そして、持分の定めのない法人とは、定款に出資持分の定めがない法人のことである。一般社団法人、一般財団法人、持ち分の定めのない医療法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人などが該当する。
相続税法第65条第1項は、持分の定めのない法人であって「その施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属等について設立者、社員、理事、監事若しくは評議員、当該法人に対し贈与若しくは遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と前条第1項に規定する特別の関係がある者に対し特別の利益を与えるものに対して財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、次条第4項の規定の適用がある場合を除くほか、当該財産の贈与又は遺贈があつた時において、当該法人から特別の利益を受ける者が、当該財産(第12条第1項第3号又は第21条の3第1項第3号に掲げる財産を除く。)の贈与又は遺贈により受ける利益の価額に相当する金額を当該財産の贈与又は遺贈をした者から贈与又は遺贈により取得したものとみなす」と定める(相続税法施行令第32条も参照)。但し、その財産が「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」である場合(相続税法第12条第1項第3号)、または「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」である場合(第21条の3第1項第3号)には、第65条第1項の適用がない(但し、第2項および第3項を参照)。
また、相続税法第66条第4項は、持分の定めのない法人に対して財産の贈与または遺贈があった場合で、その贈与または遺贈をした者の「親族その他これらの者と第64条第1項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるとき」に、その持分の定めのない法人を個人とみなして、相続税を課する旨を定める。
C代表者または管理者の定めのある人格のない社団または財団
相続税法第66条第1項は、人格のない社団または財団のうち、代表者または管理者の定めのあるものに対して財産の贈与または遺贈があった場合においては、その社団または財団を個人とみなし、相続税または贈与税を課する旨を定める。判例は、ここに医療法人が含まれると解する。但し、人格のない社団または財団が宗教・慈善・学術その他の公益を目的とする事業を行う団体であり、特定の者の私的な支配に服しておらず、特定のものに対して特別な利益を与えているという事実がない場合には、相続税が課されない(第12条第3号、第21条の3第3号、相続税法施行令第2条第2号・第3号、第4条の5)。
〔3〕連帯納付の義務
相続に際しては、通常、複数の相続人が存在する。そこで、相続税の徴収を確保するため、相続税法第34条により、相続人に対して連帯納付の義務が課されている。ちなみに、同条は贈与税についても連帯納付の義務を定めている。
まず、第1項により、同一の被相続人から相続等を受けて財産を取得した全ての者には、その相続等に係る相続税につき、その相続等によって受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の義務が課される。
この連帯納付の義務は連帯納税義務※と異なって「他の相続人の納税義務に対する一種の人的責任であるが、その基礎にある思想は、一の相続によって生じた相続税については、その受益者が共同して責任を負うべきであるという考え方」に基づく※※。また、連帯納付の義務は受益を限度とする特殊な人的責任であり、範囲を確定するための特別な行為は不要である。そして、民法上の連帯保証債務と同じく付従性を有すると理解すべきである。従って、共同相続人の納税義務が消滅した場合には連帯納付義務も消滅すると解するのが妥当である※※※。
※複数の者が連帯して一の納税義務を負担する場合をいう。国税では国税通則法第9条、国税徴収法第33条、登録免許税法第3条、印紙税法第3条第2項に定められている。また、地方税法第10条の2第1項は「共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う」と定めている。
次に、第2項により、同一の被相続人から相続等を受けて財産を取得した全ての者には、被相続人に係る相続税または贈与税について、その相続等によって受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の義務が課される。
そして、第3項により、相続税または贈与税の課税価格計算の基礎となった財産を、贈与、遺贈または寄付行為による移転によって取得した者(寄付行為の場合は法人)には、相続税または贈与税の金額のうち、贈与、遺贈または寄付行為によって得られた財産に対応する部分につき、受けた利益の価額を限度として、連帯納付の義務が課される。
さらに、これは贈与税のみの場合であるが、財産を贈与した者には、第4項により、受贈者の当該年度分の贈与税の金額のうち、贈与財産に対応する部分について、連帯納付の義務が課される。
なお、相続人は相続を放棄することもできる(民法第938条)。その場合には当初から相続人でなかったものとみなされるから(同第939条)、相続税を負担することはないのであるが、基礎控除や相続税の総額を計算する場合には相続人とみなされる(相続税法第15条第2項・第3項第2号、第16条。なお、第3条および第12条も参照)。これに対し、相続権を失った者※については、このような取り扱いをしない。
〔戻る〕
(2011年3月16日掲載)
(2011年8月19日修正)
(2012年8月12日修正)
(2013年10月16日修正)
(2017年10月11日補訂)