19    法人税額の計算、および同族会社に対する法人税など(および復興特別法人税)

 

  

  1.法人税額の計算

 法人税の税額は、各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額に税率を乗じて得られた金額である。比例税率が採用されている。法人の類別と税率については、15  法人税の納税義務者および税率」において述べた。

 ※北野弘久『税法学原論』〔第六版〕(2007年、青林書院)149頁は、応能負担原則が法人税法にも妥当すべきであるとして、超過累進税率の採用を提唱する。北野弘久編『現代税法講義』〔五訂版〕(2009年、法律文化社)83頁[北野弘久担当]も同旨。

 そして、一定の場合については、さらに税額控除がなされることとなる。法人税法には三種類の税額控除が規定される。

 第一に、法人が各事業年度において所得税法第174条各号に規定される利子や配当などの支払を受けている場合に課される所得税の額である(法人税法第68条)。

 第二に、外国税額の控除である(第69条)。

 第三に、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除である(第70条)。これは、国税通則法第56条および第57条に定められる原則を修正したものである。

 法人税法第70条の2は、まず同第70条に定められる控除、次いで同第68条および同第69条に定められる控除の順と税額控除をなすことを定めている。

 

 2. 同族会社に対する法人税など

 法人税法は、同族会社に関して特別な規定を置き、所得税の回避、法人税の回避、より一般的に租税回避が行われることに対処しようとしている。そこで、本章では同族会社に関する制度を概観する。なお、同族会社の定義などについては15  法人税の納税義務者および税率において述べた。

 (1)特定同族会社の留保金課税

 法人税の税率については15  法人税の納税義務者および税率において、税額の計算については上記において述べた。これに対して、同族会社のうち、特定同族会社については、通常の法人税とは別に、利益の内部留保に対する当別の法人税を課せられる。これは第67条第1項によるものであり、特定同族会社の特別税率、または特定同族会社の留保金課税ともいう。各事業年度の留保金額が留保金控除を超える場合には、その超える部分の留保金額について超過累進税率により、年3000万円以下の金額の部分については10%、年3000万円を超えて1億円以下の金額の部分については15%、年1億円を超える金額の部分については20%として課税される。事業年度が1年に満たない場合には、それぞれ、3000万円を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額、1億円を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額となる(同第6項)。

 留保金額は、第3項により、同第1号ないし第4号に掲げられる金額の合計額のうちの留保された金額から「当該事業年度の所得の金額につき前条第一項又は第二項の規定により計算した法人税の額(次条から第七十条の二まで(税額控除)の規定により控除する金額がある場合には、当該金額を控除した金額)並びに当該法人税の額に係る地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含む。)の額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額」とされる。

 また、留保金控除は、同第5項により、「当該事業年度の所得等の金額の百分の四十に相当する金額」(同第1号)、「年二千万円」(同第2号)、「当該事業年度終了のときにおける利益積立金額(当該事業年度の所得等の金額に係る部分の金額を除く。)がその時における資本金の額又は出資金の額の百分の二十五に相当する金額に満たない場合におけるその満たない部分の金額に相当する金額」(同第3号)のうちの最も多い金額とされている。事業年度が1年に満たない場合には、2000万円を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額となる(同第6項)。

 なお、資本金または出資金の額が1億円以下の特定同族会社については適用対象から除外されているため、留保金課税は行われない(第66条第6項第2号に規定される法人を除く)。

 (2)同族会社の行為や計算の否認

 法人税法第132条は、「税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる」と定める。これは租税回避を防止するための規定であり、所得税法第157条第1項第1号、相続税法第64条、地方税法第72条の43第1項などとほぼ同じ趣旨である。

 この規定にある「不当に減少させる」という文言は不確定概念であるが、課税要件明確主義に反しないとするのが判例である(最判昭和53年4月21日訟務月報24巻8号1694頁)。また、このような否認規定は憲法第14条に反しないとするのが判例である(東京高判昭和531130日訟務月報25巻4号1145頁)。

 もっとも、「法人税の負担を不当に減少させる」ような行為や計算の意味については、理解が分かれうる。一つは同族会社であるから容易になしうるような行為や計算であるとする理解であり、もう一つは経済人の行為として不合理あるいは不自然な行為や計算であるという理解である。

 実際には、役員報酬や役員退職給与が過大であるとしてその過大な部分の損金算入を否定した事例(東京高判昭和341117日行裁例集10122392頁など)、役員の出張に同行した家族に支給した旅費を役員賞与と認定した事例(高松地判昭和321011日行裁例集8巻101823頁)、同族関係者個人のために支出した市に対する寄付金をその同族関係者に対する賞与と認定した事例(最判昭和43年6月25日税資53162頁)、役員への無利息融資について利息を認定した事例(東京高判昭和36年2月27日税資35107頁)、資産の低額譲渡について時価との差額を益金に加算した事例、債務の無償引受を寄付金ではなく利益処分であるとした事例(名古屋地判昭和35年4月1日行裁例集11巻4号991頁)、資産の高価買入について時価を超える部分の金額の贈与があったと認定した事例(東京高判昭和461029日行裁例集22101692頁など)を筆頭に、多くの適用例がある。

 なお、法人税法第35条第1項は、特殊支配同族会社が業務主宰役員に対して支給する給与の額のうち「当該給与の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額は、当該特殊支配同族会社の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない」として、特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の一部損金不算入を定めていた。しかし、前述のように、平成22年法律第6号によって同条は削除された。

 (3)第二次納税義務制度

 これは、法人税法ではなく、国税徴収法第35条および地方税法第11条の4に規定されるものである。同族会社の株主等自身が租税を滞納した場合に一定の要件を満たした場合に、同族会社に第二次納税義務を負わせるというものである。

 3.復興特別法人税

 2011(平成23)年12月2日、法律第117号として東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(東日本大震災復興財源特別措置法)が公布され、一部の規定を除いて即日施行された。この法律により、復興特別所得税および復興特別法人税が創設されており(同第1条を参照)、復興特別法人税については課税の「対象」が「法人の各課税事業年度の基準法人税額」とされ(同第43条)、課税標準は「各課税事業年度の課税標準法人税額」である(同第47条第1項。なお、同第2項も参照)

 ※なお、「法人」の範囲については同第40条および同第41条も参照されたい。

 「課税事業年度」は、同第45条第1項により、原則として「法人の指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後三年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされる。また、「指定期間」は、同第40条第10号により、「平成二十四年四月一日から平成二十七年三月三十一日までの期間」とされる。従って、既存の法人のうち、事業年度を4月1日から翌年の3月31日までとする法人、すなわち3月末決算法人については平成25年3月期、平成26年3月期および平成27年3月期が「課税事業年度」となる。また、事業年度を10月1日から翌年の9月30日までとする法人、すなわち9月末決算法人については、平成25年9月期、平成26年9月期および平成27年9月期が「課税事業年度」となる※※

  ※「指定期間」内に設立された法人などについては、同第45条第2項各号を参照されたい。

  ※※国税庁の「復興特別法人税のあらまし(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法関係  平成24年3月)」の説明がわかりやすい(http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/fuko_tokubetsu/aramashi.pdf)。

  次に、基準法人税額は、次のように定義される。

 「連結親法人以外の法人」:「法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第六十七条から第七十条の二まで及び第百四十四条の規定並びに租税特別措置法第三章第五節及び第五節の二の規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)」(東日本大震災復興財源特別措置法第44条第1号)。

  「連結親法人」:「当該連結親法人の法人税の課税標準である各連結事業年度の連結所得の金額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第八十一条の十三から第八十一条の十七までの規定並びに租税特別措置法第三章第十七節及び第十八節の規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)」(東日本大震災復興財源特別措置法第44条第2号)。

 ※「連結親法人」とは「法人税法第二条第十二号の七の二に規定する連結親法人」のことである(東日本大震災復興財源特別措置法第40条第5号)。

  そして、税額は「各事業年度の課税標準法人税額」に10%の税率を乗じて得られた金額である(同第48条)。また、復興特別所得税額の控除が認められており(同第49条)、法人に復興特別所得税が課された場合には、その税額を復興特別法人税から控除することが可能である。従って、復興特別所得税額などの税額控除を適用したが控除しきれなかった場合には還付されることとなる。

  なお、復興特別所得税については「13  所得税法における税額の計算(および復興特別所得税)」を参照されたい。

 

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(2011年3月16日掲載)

(2011年3月31日修正)

(2011年8月19日修正)

(2012年8月8日補訂)