税法・財政法試験問題集・その14

 

大東文化大学法学部・税法2007年度後期試験問題〔2008年1月28日出題〕

 

●次の設問のうち、1題だけを選んで解答しなさい。

T.法人税法第34条の規定を参照し、役員給与の損金不算入について、判例や学説の動向に留意しつつ、論じなさい。

U.現行の地方税法(別紙に掲載)の規定を参照し、個人住民税のうち、所得割および均等割の税率の問題点について、学説の動向などに留意しつつ論じなさい。

V.消費税(地方消費税を含む)について、次の事例を基にして答えなさい(@、Aのいずれも解答すること。なお、税率は、地方消費税も合わせた5%とする)。

  (1)製造会社Aは、製品甲の売り上げを1万円とし、納税すべき消費税額を合わせた額で製品加工会社Bに売った。

  (2)製品加工会社Bは、製品甲の売り上げを2万円とし、その売り上げにかかる消費税額を合わせた額で卸売業者Cに売った。

  (3)卸売会社Cは、製品甲の売り上げを3万円とし、その売り上げにかかる消費税額を合わせた額で小売業者Dに売った。

  (4)小売業者Dは、製品甲の売り上げを4万円とし、その売り上げにかかる消費税額を合わせた額で消費者Eに売った。

  @製造会社A、製品加工会社B、卸売会社C、小売業者Dが納付すべき消費税額は、それぞれいくらか。これらの合計は、消費者Eが最終的に負担させられる額と同じか。

  Aここで、卸売業者Cが免税事業者であったとする。この場合に生じうる問題点について論じなさい。

 

参照条文

@法人税法

  (役員給与の損金不算入)

第34条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与及び第五十四条第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する新株予約権によるもの並びにこれら以外のもので使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの並びに第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

  一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号において「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(次号において「定期同額給与」という。)

  二 その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与をいう。次号において同じ。)を除くものとし、定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給するものに限る。)以外の給与にあつては政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしている場合における当該給与に限る。)

  三 同族会社に該当しない内国法人がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する利益連動給与で次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員のすべてに対して次に掲げる要件を満たす利益連動給与を支給する場合に限る。)

    イ その算定方法が、当該事業年度の利益に関する指標(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書((3)において「有価証券報告書」という。)に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。

      (1) 確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

      (2) 政令で定める日までに、報酬委員会(会社法第四百四条第三項(委員会の権限等)の報酬委員会をいい、当該内国法人の業務執行役員又は当該業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員になつているものを除く。)が決定をしていることその他これに準ずる適正な手続として政令で定める手続を経ていること。

      (3) その内容が、(2)の決定又は手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。

    ロ その他政令で定める要件

2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 内国法人が、事実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。

5 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

6 前二項に定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

A地方税法

  (所得割の税率)

第35条 所得割の額は、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、百分の四の標準税率によつて定める率を乗じて得た金額とする。この場合において、当該定める率は、一の率でなければならない。

2 前項の「課税総所得金額」、「課税退職所得金額」又は「課税山林所得金額」とは、それぞれ前条の規定による控除後の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。

  (個人の均等割の税率)

第38条 個人の均等割の標準税率は、千円とする。

  (個人の均等割の税率)

第310条 個人の均等割の標準税率は、三千円とする。

  (個人の均等割の税率の軽減)

第311条 市町村は、市町村民税の納税義務者が左の各号の一に該当する場合においては、その者に対して課する均等割の額を、当該市町村の条例の定めるところによつて、軽減することができる。

  一 均等割を納付する義務がある控除対象配偶者又は扶養親族

  二 前号に掲げる者を二人以上有する者

  (所得割の税率)

第314条の3 所得割の額は、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、百分の六の標準税率によつて定める率を乗じて得た金額とする。この場合において、当該定める率は、一の率でなければならない。

2 前項の「課税総所得金額」、「課税退職所得金額」又は「課税山林所得金額」とは、それぞれ前条の規定による控除後の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。

 

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